ローンと投資の最適解を見つける

300万円の新車ローン、貯蓄100万円をどう使うべきか?

300万円の新車を、金利4%・10年ローンで支払う場合、貯蓄100万円をどう使うのが最も賢いか?
このテーマを検証するため、ご相談者(40代・会社員)の「月3万円まで返済可能」という予算に基づき、4つの「IF(もしも)」の未来を設定し、10年後の『資産総額』がどうなるかを比較・検証しました。

【実験1】まず、ローン返済額を把握する

まず、ローン(300万, 10年, 金利4%)の条件を整理します。

プラン 借入額 月返済額 10年間の利息総額
A:頭金ゼロ(フルローン) 300万円 約 30,375 円 約 64.5 万円
B:頭金100万 200万円 約 20,250 円 約 43.0 万円
C:頭金50万 250万円 約 25,312 円 約 53.7 万円

ご相談者さまの予算(月3万)なら、どの選択肢も可能です。 多くの人は「C:頭金100万」を選び、月々の返済を楽にし、利息(約43万)を払うでしょう。これは堅実な選択です。

では、この選択に「投資」を組み合わせると、10年後の『資産総額』はどう変わるでしょうか?

【実験2】4つの仮説と、10年後の資産総額(期待利回り5%)

「投資」を組み合わせた3つの仮説(A, B, C)と、「投資をしない」堅実な仮説(D)を、10年後の資産総額(中央値)で比較します。
(※投資はすべて期待利回り5%・リスク標準15%と仮定)

仮説A フルローン+一括投資

行動: 頭金はゼロ。手元の100万円を「一括投資」する。
返済: 月約30,375円。

10年後の資産(中央値):
投資した100万円(元本)は約148.0万円に育つ可能性があります。
しかし、フルローンの利息(約64.5万円)を支払っています。
差し引き、10年後の資産総額(中央値)は 約 83.5 万円 となります。

利息・リターン・実質支払利息
10年間の資産推移(モンテカルロシミュレーション)

仮説B 頭金100万+積立投資

行動: 頭金100万円を支払う。
返済: 月約20,250円。
余裕資金: 予算(3万)との差額「月 約9,750円」を「積立投資」に回す。

10年後の資産(中央値):
積立投資(9,750円×120回)の元本117万円は、約145.0万円に育つ可能性があります。
しかし、ローンの利息(約43万円)を支払っています。
差し引き、10年後の資産総額(中央値)は 約 102.0 万円 となります。

利息・リターン・実質支払利息
10年間の資産推移(モンテカルロシミュレーション)

仮説C 頭金50万+ハイブリッド投資

行動: 頭金50万円を支払う。残りの50万円は「一括投資」する。
返済: 月約25,312円。
余裕資金: 差額「月 約4,688円」を「積立投資」に回す。

10年後の資産(中央値):
投資元本(一括50万+積立56.3万)=約106.3万円が、約144.8万円に育つ可能性があります。
しかし、ローンの利息(約53.7万円)を支払っています。
差し引き、10年後の資産総額(中央値)は 約 91.1 万円 となります。

利息・リターン・実質支払利息
10年間の資産推移(モンテカルロシミュレーション)

仮説D 頭金100万+積立"貯金"(投資をしない未来)

行動: 頭金100万円を支払う。
返済: 月約20,250円。
余裕資金: 差額「月 約9,750円」は、投資せず「貯金(金利0.2%)」する。

10年後の資産(中央値):
貯金元本117万円は、金利0.2%で約118.2万円になります。
しかし、ローンの利息(約43万円)を支払っています。
差し引き、10年後の資産総額は 約 75.2 万円 となります。

利息・リターン・実質支払利息
10年間の資産推移(貯金のみ)

【考察】この「実験結果」から、私たちが主張したいこと

さて、4つの仮説(中央値)を、10年後の資産総額が多い順に並べてみましょう。

【まとめ】10年後の資産総額(中央値)比較(期待利回り5%)

順位 仮説 資産総額 元本
1位 仮説B(積立投資) 約 102.0 万円 元本 117万
2位 仮説C(ハイブリッド投資) 約 91.1 万円 元本 106.3万
3位 仮説A(一括投資) 約 83.5 万円 元本 100万
4位 仮説D(貯金だけ) 約 75.2 万円 元本 117万
4つの仮説の比較(元本・リターン・利息・純資産)

この実験結果から、2つの「気づき」が得られます。

気づき① 「投資しない(D)」より「投資する(B, C)」が合理的

まず、「仮説B(積立投資)」と「仮説D(貯金だけ)」を比べてください。 どちらも「頭金100万」を払い、月々の負担感も同じ(約3万円)です。 違いは、浮いた月1万円弱を「貯金(D)」したか、「投資(B)」したか、だけです。

その結果、10年後の資産は約27万円(102.0万 vs 75.2万)もの差がつきました。 「頭金を入れて返済が楽になった」と安心し、浮いたお金をただ貯金しているだけでは、「機会損失」が生まれ続ける可能性を示しています。

気づき② 利回りが低いと「一括投資(A)」は不利になる

「仮説A(一括投資)」は、金利4%のローンを抱えながら、利回り5%(中央値)の投資をしたため、投資リターン(約48.0万円)がローン利息(約64.5万円)を下回り、資産総額は83.5万円となりました。 「(頭金+)積立投資(B, C)」の方が、資産総額は多くなりました。

私たち(コンパス+)の主張

「じゃあ、BかCのプランが一番良いんですね?」 そう思うのは、まだ早いかもしれません。 この実験は、あくまで「期待利回り5%」という控えめな仮定です。

もし、あなたがリスクを取り、期待利回りが「10%」だったとしたら、どうなるでしょうか? (※AIで再計算しました)

【まとめ】10年後の資産総額(中央値)比較(期待利回り10%)

順位 仮説 資産総額
1位 仮説A(一括投資) 約 175.9 万円
2位 仮説C(ハイブリッド投資) 約 155.0 万円
3位 仮説B(積立投資) 約 145.8 万円
参考 仮説D(貯金だけ) 約 75.2 万円(変わらず)

期待利回りが変わるだけで、結果(金額)は劇的に変わります。 (仮説Aの純資産も、83.5万から175.9万へと大幅に増加します)

結論:あなたの「最適解」を見つけませんか?

「コンパス+」がこの実験で最もお伝えしたいこと。それは、「Aが正解」「Bが正解」ということではありません。

「投資をしない(D)」未来は、他のどの「投資」プランよりも資産が育たない可能性が高い、という「現実」。 そして、「投資」には「一括(A)」「積立(B)」「ハイブリッド(C)」という「戦略」があり、その結果は「あなたが設定する利回り」や「あなたの性格(堅実か、仕組みか)」によって全く変わってくる、という「事実」です。

「もし、期待利回りが『3%』だったら?」
「もし、ローン金利が『2%』だったら?」
「私には『一括』と『積立』、どっちが合ってる?」

このような『あなただけ』のケースを試してみたい場合は、ぜひご自身でシミュレーションしてみてください。

※本シミュレーションは、提示された条件および統計データに基づく簡易的な予測であり、将来の成果を約束するものではありません。
※ローン返済額は元利均等返済として概算しています。実際の契約とは異なる場合があります。
※投資のリスク(振れ幅)は、モンテカルロシミュレーション(試行回数1万回)の上位25%〜下位25%の範囲の目安をテキストで表示しています。
※本機能は金融知識に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取引を推奨したり、勧誘したりするものではありません。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。