単利と複利の違いとは?
単利と複利は、お金の増え方を決める大切な「エンジン」です。
このページでは、単利は「元本だけが増える」増え方、複利は「増えた分が次の元本になる」雪だるま式の成長という仕組みを、図と例を使ってやさしく解説します。
同じお金でも、増え方の違いで将来の差は大きく変わります。
資産形成の第一歩として、2つの違いをここでしっかり整理しましょう。
単利と複利の違いとは?お金が雪だるま式に増える仕組み
「投資にはどんな種類がある?」の章では、株式・投資信託・債券・不動産など、お金を育てるための道具について見てきました。
この章では、その道具を動かすエンジンとなる単利と複利の違いをやさしく整理していきます。
少しむずかしそうに感じる言葉ですが、イメージさえつかめれば大丈夫です。
「同じお金を同じ期間ふやすのに、なぜ結果がこんなに違うのか?」を、図やイメージを使いながら、一緒に見ていきましょう。
単利とは?
単利とは、最初に預けた元本にだけ利息がつき続ける、シンプルな増え方のことです。
「はじめに預けた金額」に対して、毎年おなじ割合で利息がついていくイメージです。
たとえば、100万円を年利5%の単利で3年間運用すると、毎年の利息はずっと5万円のまま変わりません。
3年後には、元本100万円 + 利息5万円×3年=115万円になります。
利息がさらに利息を生むことはなく、毎年「同じペース」で増えていくのが単利の特徴です。
複利とは?
複利とは、元本に加えて、これまでに増えた利息にも利息がついていく増え方のことです。
いわば、「利息がさらに利息を生む」状態で、時間が経つほど増えるスピードが大きくなるのが特徴です。
たとえば、100万円を年利5%の複利で3年間運用すると、毎年の利息が元本に積み上がっていくため、
1年目:100万円 → 105万円
2年目:105万円 → 110.25万円
3年目:110.25万円 → 約115.8万円
利息が元本に加わり、その増えた元本にまた利息がつく──この積み上がりが複利のポイントです。
単利と比べると最初の差は小さく見えますが、長く続けるほど「雪だるま式」に差が広がるのが複利の特徴です。
銀行預金も複利だが…
銀行預金も、実は複利で計算されています。
ただし、現在の預金金利(例:0.2%)では、その複利の力をほとんど実感できません。
たとえば100万円を年利0.2%の複利で10年間預けても……
- 10年後の金額は約102万円
- 増えるのはわずか約2万円だけ
複利そのものは正しく働いていますが、金利が小さいとふくらむスピードもゆっくりのままです。
そのため、預金ではお金が安全に守られる一方で、複利の恩恵はほとんど得られないという特徴があります。
次のセクションでは、同じ複利でも 投資ではなぜ雪だるま式に伸びやすくなるのか、その違いを見ていきましょう。
投資と複利効果
投資は預金のように利息が決まっているわけではないので、厳密には複利そのものとは言えません。
でも──「増えた分をそのまま次の投資に回す」ということを続けると、
お金が雪だるま式に育つ複利効果を得ることができます。
これは投資の大きな魅力のひとつです。
株式で生まれる複利効果
株式でも複利に近い働きがあります。
- 配当金を再投資する:配当で株を買い足すと翌年の配当が増えていく
- 企業の成長そのものが複利的に働く:企業が利益を再投資して成長すると、株価が上がる(これも一種の複利効果)
どちらも増えた分が次の成長を生む仕組みです。
投資信託で生まれる複利効果
投資信託は、複利効果が特に実感しやすい道具です。
- 自動的に分配金を再投資してくれるタイプを選べば、手放しで複利が働く
- ファンドの中でも、株の配当や債券の利息が再投資されて中身が太っていく
まさに、ほったらかしで複利の仕組みがまわるのが魅力です。
債券で生まれる複利効果
債券でもらえる利子を、そのまま別の債券や投資信託に回すと、受け取った利子が次の利益を生むという流れができます。
シンプルに言えば、利子が仲間を連れてきてくれるイメージです。
複利は増えた分が次の成長を生むという強力な仕組みですが、では実際にどれくらいのペースで増えていくのでしょうか?
次のセクションでは、それをひと目でつかめる72の法則を使って、複利が生む時間の力を見ていきましょう。
72の法則で知るお金が2倍になるスピード
複利のパワーをイメージしやすくしてくれるのが、72の法則です。
とてもシンプルで、72 ÷ 利回り(%)= 資産が2倍になるまでのおおよその年数これだけでざっくり計算できます。
たとえば…
- 銀行預金(年利0.2%)なら → 約360年(ほぼ増えない)
- 投資(期待利回り5%)なら → 約14年
- 投資(期待利回り8%)なら → 約9年
数字を見るだけでも、複利と時間が味方すると資産の増え方が大きく変わることが分かります。
この時間の力を活かすためにも、早めに始めてコツコツ続けることが大切です。
単利と複利のしくみを理解することが、資産形成の第一歩
ここまで、単利と複利の違いを通して「お金がどう増えるのか」という資産形成の土台を見てきました。
最後に、今回のポイントをまとめます。
- 単利は、元本にだけ利息がつき続ける一定の増え方
- 複利は、増えた利息にも利息がつく積み上がる増え方
- 銀行預金は複利計算だが、金利が低いため増え方は緩やか
- 投資は利益を再投資することで増え方が変わる仕組みがあり、複利効果が生まれやすい
単利と複利の違いがわかると、「お金がどう増えていくのか」という資産形成の土台がクリアになります。
複利は、増えた分が次の増加を生むという仕組みを持っているため、同じお金・同じ期間でも単利と大きく結果が変わることがあります。
こうした増え方の違いを理解しておくことで、これからの資産づくりの選択肢や考え方がぐっと整理しやすくなります。
※本ページは投資判断を勧誘する目的ではなく、正しく違いを理解してもらうための情報提供です。
最終的な投資判断は、ご自身の責任で行ってください。