失敗しないための投資の考え方
分散・長期・余裕資金3つの鉄則

失敗しない投資の考え方
投資の基本

投資で大きな損をしてしまう原因の多くは、やり方そのものではなく、下落時の不安から手放してしまう「狼狽売り」にあります。

このページでは、その失敗を防ぐために昔から語り継がれてきた「余裕資金・分散・長期」という3つの基本を、初心者にもわかりやすく整理します。

値動きに振り回されず、安心して続けるための土台をつくる考え方を学べます。

失敗の正体を知る

投資は価値を育てる行為であり、正しく向き合えば長期で資産づくりに役立つものだということを、前の章で確認しました。
とはいえ、市場は必ず上下に動くため、価格の振れ幅そのものをゼロにすることはできません。

実際、多くの人が大きく損をしてしまう原因は投資そのものではなく、
下落したときに不安で手放してしまう──いわゆる「狼狽売り」にあります。
では、どうすればこの失敗を避けられるのか?

投資の世界には、長く語り継がれてきた3つの基本(余裕資金・分散・長期)があります。
これは難しいテクニックではなく、誰でも実践できる投資の土台です。

この章では、その3つの鉄則を初心者にもわかりやすく整理していきます。

投資は余裕資金から始めよう

投資の世界には命金(生活費)には手をつけるなという有名な教えがあります。
これは、生活に必要なお金を投資に回してしまうと、ちょっとした値下がりにも耐えられなくなるからです。
そこで大切なのが、まずは余裕資金で始めるということ。
余裕資金とは、生活防衛資金(半年〜2年分の生活費)や、近いうちに使う予定のあるお金をしっかり確保したうえで、「しばらく使う予定のないお金」のことを指します。

余裕資金で投資するとは

余裕資金に含めないものの例

  • 家賃・食費・税金など、毎月必ず出ていくお金
  • 車の頭金など、使う時期が決まっている大きな支払い
  • できれば10年くらい触らなくても困らないお金を投資に回すのが理想

もし生活費まで投資に使ってしまうと、相場が下がったときに「来月の支払いができない…」という不安が一気に押し寄せます。
すると、本来は持ち続けた方がいい場面でも焦って売ってしまい、損を確定させる原因になります。
余裕資金で投資をするというのは、価格が下がっても「生活には影響ないから大丈夫」と思える心のクッションを作ること。
長く続けるための、もっとも大事な土台になります。

リスクを減らすために分散しよう

投資の世界には卵は一つのカゴに盛るなという有名な教えがあります。
これは、ひとつの銘柄だけにお金を集中させてしまうと、その銘柄が値下がりしたときに、資産全体が大きく傷ついてしまうからです。
そこで大切になるのが、分散投資ということ。
分散投資とは、ひとつの銘柄やひとつの国に偏らず、いくつものカゴにお金を分けて入れる考え方です。
どれかが値下がりしても、ほかがカバーしてくれるため、資産全体の振れ幅(リスク)を小さくできます

分散投資とは
  • よくない例(リスクの集中)
    余裕資金100万円をA社1社だけに投資。
    A社が大きく値下がりしたり倒産した場合、資産への影響がとても大きくなってしまいます。
  • よい例(分散投資)
    100万円を100社に1万円ずつ投資。
    1社がうまくいかなくても損失は1万円で済み、残りの99社の成長が全体を支えてくれます。

このように、ひとつのカゴにリスクを集中させないことで、資産全体が同時に大きく崩れる最悪の失敗を避けることができます。
分散は安心して投資を続けるための大切な基本です。

コツコツ続けて時間を味方にしよう

投資には、時間を味方につけようという基本があります。
これは、短期の値動きを当てようとするのではなく、長い時間にゆだねることで振れ幅をならし、結果を安定させるという考え方です。
そこで重要になるのが、長期投資と積立投資の2つの方法です。

長期投資・積立投資とは

長期投資

時間をかけて保有し続けることで、短期の上下に振り回されず、平均的な成長の恩恵を受けやすくなります。
一時的に値下がりしても、慌てず持ち続けることで回復しやすくなるのが特徴です。

さらに長期投資には、

  • 市場全体の成長(プラスサムの力)を取り込みやすい
  • 売買が少ないため、判断ミスや余計なコストを減らせる
  • 心理的に落ち着いて続けやすい

といったメリットがあります。

積立投資(ドルコスト平均法)

毎月1万円など、決まった金額で自動的に買い続ける方法です。
価格が高いときは少なく、安いときは多く買うため、購入価格が自然と平均化されていきます。
感情で判断しなくていいため、もっとも取り組みやすい長期投資のスタイルです。

さらに積立投資には、

  • 安いときに多く買えるため、平均購入単価を下げやすい
  • 「買い時を悩む」「下落が怖い」という心理的負担が減る
  • 暴落時(実は買い時)でも自動で買い続けられる

といったメリットがあります。

3つの基本を手間なく実践できる投資信託

投資の基本である余裕資金・分散・時間を味方にするの3つは、どれも失敗を避けるために欠かせない大切な考え方です。
ですが、実際に自分ひとりで全部やろうとすると、銘柄選びや管理の手間が大きく、忙しい人にはとても続けにくいですよね。

そこで頼りになるのが投資信託です。

  • プロが株式や債券を組み合わせてくれるので、持つだけで自然と分散ができる
  • 積立設定をしておけば、自動で時間分散(長期・積立)が実践できる
  • 少額から始められるため、余裕資金の範囲でムリなく続けられる

このように投資信託は、3つの基本を手間なくまとめて実践できる、忙しい人にとっての強い味方です。

※本ページは投資判断を勧誘することを目的とせず、考え方を共有するための情報提供です。最終的な投資判断はご自身で行ってください。

投資の基本を押さえると、次に気になるのが「じゃあ実際、何から始めればいいの?」ということ。
次のページでは、忙しい人こそ投資信託が最適解になる理由をわかりやすく整理していきます。