投資はギャンブルと何が違う?
「リスク」の本当の意味

ミサトさん、ようこそ。先ほどのページでは、100万円が20年でどれだけ差がつくか、衝撃的なグラフを見ていただきました。

はい…「機会損失」という言葉が頭から離れません。

でも、ナビゲーターさんは最後に「Path B(育てる道)にはリスクがある」とはっきり言いました。やっぱり、元本が減る可能性がある「ギャンブル」に、大切なお金を晒すなんて…私にはとても怖くてできません。

その「怖い」という感覚、100%正しいですし、ミサトさんのように真面目な方ほど、そうお考えになります。その感覚は、絶対に持ち続けてください。

今日は、その「怖さの正体」を、一緒に解き明かしていきましょう。大丈夫、まだ何も決める必要はありません。ただ「知る」だけです。

「知る」だけなら…。よろしくお願いします。

まず、私たちが乗り越えるべき、最初の「誤解」から解いていきます。

ミサトさんは「リスク」と聞くと、何を想像しますか?

やっぱり「危険」とか「損失」…「避けるべきもの」、というイメージです。

ありがとうございます。それが、9割の人が誤解している点です。

投資の世界でいう「リスク」とは、「危険(Danger)」という意味ではありません。それは「振れ幅(Volatility)」…つまり、結果が不確実であることの「度合い」を指す、中立的な言葉なんです。

振れ幅…?

はい。例えば「リスクが高い」とは、「すごく儲かるかもしれないし、すごく損するかもしれない」=「振れ幅が大きい」という意味です。

逆に「リスクが低い」とは、「儲けは少ないけど、損も少ない」=「振れ幅が小さい」という意味。銀行預金は、まさに「リスクがゼロに近い」状態ですね。

体験:「リスク」を山登りに例えてみよう

ここに、リターンの違う2つの山があります。どちらも「山頂の景色」というリターン(利益)が得られます。

地元の裏山(低リスク・低リターン)

⛰️
  • リターン: 山頂からの景色(そこそこ)
  • リスク(振れ幅): 低い。(スニーカーで登れる。ケガの可能性も低い)

冬の富士山(高リスク・高リターン)

🏔️
  • リターン: 山頂からの景色(最高・絶景)
  • リスク(振れ幅): 高い。(遭難の可能性あり。高度な装備と準備が必須)

なるほど…。私なら、絶対に「地元の裏山」です。安全第一ですから。

素晴らしい判断です。それがミサトさんの「リスク許容度」です。

では、もし「最高のリターン(絶景)」が絶対に欲しいなら?

それなら…富士山に挑戦するしかないですよね。でも、その場合は入念な準備とトレーニング、専門ガイド(プロ)を雇うなど、「リスク管理」を徹底します。

まさしく! 投資も全く同じです。

大切なのは、「リスク=危険」と避けることではなく、「リスク=振れ幅」と正しく理解し、自分に合った山(金融商品)を選び、入念な準備(=リスク管理)をすることなんです。

銀行預金は「地元の裏山」。安全ですが、リターンも低い。前回のグラフで見たPath B(育てる道)は、もう少し高い山に登るイメージです。

「ギャンブル」と「投資」の決定的な違い

でも、結局「ギャンブル」と何が違うのですか? どちらも「振れ幅」がありますよね?

ミサトさん、これが一番の核心です。この2つは、似ているようで「目的」と「結果の総和」が全く違います。

  • ギャンブル(例:競馬、宝くじ)
    目的は「短期的な刺激と利益」。参加者のお金を集め、手数料を引いた残りを分配します。誰かが得をすれば、必ず誰かが損をします。全員の利益の合計は、必ずマイナスになる「マイナスサム・ゲーム」です。

  • 投資(例:株式、投資信託)
    目的は「長期的な資産形成」。企業や経済の「成長」にお金を投じます。世界経済が成長すれば、企業の利益が増え、株価が上がり、投資家(あなた)の資産も増えます。参加者全員が(理論上は)勝てる可能性がある「プラスサム・ゲーム」です。

私たちが目指すのは、もちろん後者の「プラスサム・ゲーム」です。世界経済が年3〜5%成長するのに合わせて、自分の資産もゆっくり育ててもらう、という合理的な考え方なのです。

「リスク=振れ幅」は分かりました。でも、元本が減る可能性があるのは事実ですよね?

はい、その通りです。それが「振れ幅」であり、投資の「リスク」です。短期的に見れば、元本を割る(マイナスになる)可能性は常にあります。

しかし、前回のグラフを思い出してください。

「貯金(Path A)」は、何もしなくても「インフレ」と「機会損失」によって、実質的な価値が減っていくリスクに晒されています。

どちらもリスクがある、ということです。その上で、どちらのリスクを取るか、という選択になります。

  • 貯金のリスク: 自分ではコントロールできない「インフレ」や「機会損失」に、静かに資産が蝕まれていくリスク。
  • 投資のリスク: 短期的な「振れ幅」はあるが、やり方次第で「管理」でき、長期的に「プラスサム」を目指せるリスク。
なるほど…。「投資」のリスクは「管理」できる、ということですか?

その通りです! それこそが、投資がギャンブルと違う、最大のポイントです。

リスクは「ゼロ」にはできません。しかし、ミサトさんが富士山に登るために「準備」をすると言ったように、投資のリスクも「小さく管理する」ことが可能です。

そのための、誰でも実践できる、投資の王道とも言える「3つの魔法」があります。次のページで、その具体的な方法(=リスク管理術)を学びましょう。

※本ページは、金融知識に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取引を推奨したり、勧誘したりするものではありません。

※金融商品の選択や投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。

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